ヒットを狙うよりライバルを叩く方法を考えよう
あるメーカーの再生事業で、これまでの商品企画を見直していたとき、開発途中で中止になった企画がいくつもありました。その理由を担当課長に尋ねたところ、「ライバル社が同じコンセプトの商品を先に販売したので、メリットが少ないと判断して、途中でストップさせました」という答えが返ってきました。
これはメーカーが最もやってはいけないパターンの1つです。この会社が赤字にあえぐようになったのも、ある意味では必然でした。
この会社は、大きなミスを2つ犯しています。
1つ目は、商品開発の遅れから他社に先を越されて、先行者利益を逃してしまったこと。ビジネスで勝つのは、アイデアを最初に思いついた会社ではなく、アイデアを最初に実現した会社です。せっかく良い企画を立てても、開発が遅れて他社に先んじられてしまったら、もうそのアイデアに価値はありません。
2つ目のミスは、そこで商品化を諦めてしまったことです。企画を途中でストップさせると、その商品の対象市場には、ライバル社の商品しかありません。他の競合他社が参入しない限り、最初に開発したライバル社の独占状態です。
特定の商品分野をライバル社に独占させても、他で確実に勝てるなら問題はありません。しかし、ある商品分野を独占されると、結果的に他の商品分野でも不利に働くケースが多いのです。
正直、二番煎じの商品は、「負け戦」です。しかし、負け戦であることがわかっていても、ダメージを減らすために、あえて後発で商品を出さなければいけないことがあります。ちなみに二番煎じでも守りを固めるべきは、自社とライバル社の資本力に大きな差がない場合に限られます。
相手が巨大企業なら、選択と集中で、苦手分野から撤退し得意分野に資本と人材を集中させることが原則です。また自社が圧倒的に企業規模で勝っているなら、たとえ相手に先んじられても、物量作戦で攻めの戦略を実行できます。
ライバルと自社の力関係をよく見極めて、適切な戦略を選んでください。