「思いつき」を「企画」に変えるにはどうすればいいのか。これまで2000社超の赤字企業を再生させてきた長谷川和廣氏は「企画とは、目標を立てて、その実現に向けて計画すること。目標設定とその実現方法が的確なら、ユニークなアイデアや目新しさは必要ない」と断言する。そんな長谷川氏が企画立案で活用する「7つのプロセス」とは――。

※本稿は、長谷川和廣『2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート』の一部を再編集したものです。

「仕事のプロ」はいざというときに逃げない

私の55年のビジネス人生で最も大切にしてきたものは「信用」です。ただし、信用というものは非常にもろいもので、納期が一度遅れただけで簡単に壊れてしまうケースもあります。そして仕事のアマチュアは、その大切な信用を簡単に壊してしまうのです。

『2000社の赤字会社を黒字にした 社長のノート』(長谷川 和廣著・かんき出版刊)

では、プロフェッショナルはどうするか?

お金が多少かかってでも、人海戦術を取って納期に間に合わせます。これはプロの歌手が高熱を押してでも、約束のステージに立つのと同じ責任感です。

このような仕事ぶりには痛みが伴いますが、その見返りも大きいのです。もしかしたらクレーム相談も来るかもしれませんが、プロは決して逃げません。すぐに現場に直行して、相手の懐に飛び込みます。

私のノートにも、「ここで逃げてはだめだ」という言葉が何度も書かれています。ひと言で言うなら、「プロの仕事人とは、いざというときに逃げない人だ」と、断言していいでしょう。

徹底的にプロセスにこだわれば、本当の実力が見えてくる

ビジネスの運・不運は、目に見える形で訪れるとは限りません。むしろ、本人には気づかないような、些細な要因が左右しているケースがほとんどです。

これは私が経験したことですが、応援している野球チームが勝って機嫌の良い人が、大量の注文を出してくれたり。逆に、取引先の担当者が急用でたまたま席を外していたなどといったことで、トラブルが拡大したり……。

だからこそビジネスパーソンは、結果にこだわる以上に、プロセスにもこだわるべきです。プロセスに注意していないと、「良い結果が出ているのは、自分の実力」と過信してしまいがちだからです。

プロゴルファーは、完璧に打ったと思ったパットが入らなかったとき、「パットはクレージーなものだ」と気持ちを切り替えるといいます。そういう切り替えは、常に自分のフォームに神経をとがらせ、正しいプロセスを意識しているからできること。大事なのはスコアではなく、あくまでも基本に忠実なフォームなのです。