仕事ができる人ほど使えるフォーマットを持っている!

仕事の能率が悪い人や会社を上手に導けない経営者を見ていると、「この人は役に立つフォーマットを持っていないな」と感じることが多々あります。つまり文字どおり、書式という意味でのフォーマットさえあれば、スピード感のある仕事術を実践できるということです。

私は有能な人ほど数々の「書式」を持っており、それを上手に使いこなしていると見ています。何かを始めるとき、応用可能な書式さえあれば、仕事の計画書も簡単に書ける。それは仕事を迅速に、そして用意周到に進めるために必須のツールになります。

この重要性に気づいたのは、私が世界有数のグローバル企業に長く勤務していたからです。国をまたいでいろいろな人と仕事をするためには計画を明文化しないと、必ず細かいところで齟齬が出てきます。

もちろんフォーマットは、ただマネをするだけでは意味がなく、自分で作るもの。上手に利用して応用すれば、紙1枚の詳細な計画書なども作れてしまいます。

7つのプロセスで「思いつき」を「企画」に変える

企画=アイデア勝負だと思い込むのは、日本のビジネスパーソンの悪い癖です。企画とは、目標を立てて、その実現に向けて計画すること。目標設定とその実現方法が的確なら、特にユニークなアイデアや目新しさは必要ありません。

企画を立てるときの考え方の基本として、私が常に実践してきた7つのポイントは次のとおりです。

1.現状把握(今、何が起きているのか)
2.課題の洗い出し(今、抱えている問題は何か)
3.課題改善の可能性(問題は改善可能なものか)
4.目標設定(どの問題をどのレベルまで改善するか)
5.目標達成のためのアクションプラン(どうやって改善を図るのか)
6.経済性の検証(収支はどう変わるのか)
7.他に与える影響(プランを実行すると、どのようなリスクがあるのか)

まず情報収集して現状を把握して、そこから課題と改善可能性を洗い出して、数ある改善可能性の中からターゲットを絞り、それを実現するための手段を考える。さらに、それが会社にどんな利益をもたらし、どんなリスクを含んでいるかを検証する。この一連のプロセスがあって初めて、企画はビジネスの現場で価値を持ちます。

ここに挙げた7つのプロセスを考えていない企画は、ただの思いつきです。ただの思いつきでは、どんなユニークな内容でも役に立ちません。

たとえば、ヒットの可能性を秘めた商品企画があっても、自社がすでにその類似製品で圧倒的なシェアを取っているなら、新しい商品を投入する意味はありません。にもかかわらず、似たような企画をあげてくるのは、「1.現状把握」と「2.課題の洗い出し」というプロセスが抜けているからです。

あるいはヒットが確実でも、多大な投資が必要で、豊富な資金力がある企業にしかできない企画があります。自社が中小企業なのにそういった企画を提案してくるのは、「6.経済性の検証」ができていないからです。

逆に商品企画としては平凡でも、前後のプロセスが的確なら、良い企画といっていい。発想が斬新ではないからといって、悩む必要はないのです。