業務効率を上げるにはどうすればいいのか。キーエンス出身のコンサルタントである田尻望さんは「キーエンスには1日にPDCAサイクルを2度回す仕組みができている。このためすべての業務において展開のスピードが速い」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、田尻望『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

PCDAサイクルのイメージ写真
写真=iStock.com/Jirsak
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成功の秘訣は「再現性のある商品企画」

会社というものは、「どんな商品(サービス)であれば、お客様は買いたいと思うのだろうか」ということを企画することから始まります。

商品企画の巧拙で、会社の命運が変わると言っても過言ではないでしょう。

言ってみれば、商品企画者は組織における「再現性の司令塔」なのです。

キーエンスの成功は「再現性のある商品企画」によって支えられていると言っても過言ではないと、私は思っています。

キーエンスでは、「商品を通じて世の中のありようを変える」という考えが重要視されていました。

私自身、キーエンスを入社志望したときも、この言葉に感銘を受けて憧れを持ったのを鮮明に覚えています。

私たちの社会・暮らしは、商品によって大きく変化してきました。

自動車、家電製品、パソコン、スマートフォンをはじめ、今、身の回りにある数々の商品が存在しなければ、私たちが暮らす社会はまったく違ったものになっていたでしょう。

商品自体が「最強の営業パーソン」

「商品が私たちの生活を、よりよいものに変えていく」とすれば、よりよい新しい商品をつくり上げることこそが、高い付加価値をつくることにつながります。

これは同社の考え方の基軸となっており、「商品こそ本命策である」と考えられていました。

そう考えると、「商品自体が最強の営業パーソン」とも言えます。

営業担当者が電話やメール、面談などで見込顧客やお客様と接触できる時間は限られています。

しかし、商品はお客様先でずっと役に立ち続けることができますし、お試しとして使える商品(デモ機)があれば、お客様は自分たちが得られる価値を実際に体験できます。

お客様は「言葉で説明されるだけでなく、実際に商品を確認したい、見せてほしい、試してみたい」とひそかに思っています。

お客様は常に、「商品の機能や特長だけでなく、私たちにとっての利点を説明してほしい。そのあとは実際に商品を見せてほしい。最後に、体験させてほしい」と望んでいるのです。

営業でお客様と会うときは、「言う(言葉で説明する)」「見せる」「体験させる」の3つが重要なのです。