仕事ができる人とそうでない人の違いは何か。キーエンス出身のコンサルタントである田尻望さんは「潜在ニーズよりもさらに深い“ニーズの裏のニーズ”を捉えられているかどうかが重要だ。お客様からこれを聞き出すことができれば、継続して商品やサービスを売り続ける仕組みを作ることができる」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、田尻望『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

What do you need?と書かれたメモ帳
写真=iStock.com/atakan
※写真はイメージです

ヒアルロン酸を注射したい人の「真のニーズ」とは

すべての仕事は、誰かのニーズを叶えています。

言い換えると、誰かのニーズを叶えることから、悩みを抱えている問題を解決するところから、人の役に立つ商品、サービス、仕事は生まれます。

つまり、「ニーズ」は「仕事の起点」なのです。

ニーズには、「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」に加え、もう一つ、種類があります。それは、相手のさらに深い部分に存在するニーズ、つまり、顕在ニーズと潜在ニーズの裏側にある「真のニーズ」です。

潜在ニーズよりも、さらに深い部分にある「真のニーズ」とは、どういうものなのか、具体的な例を挙げて説明しましょう。

あなたが美容皮膚科のカウンセラーだとしましょう。ある女性が「ヒアルロン酸の注射を受けたい」と相談に来た場面を想像してください。

その女性は、「目の下のクマやしわを何とかしたい」と言っています。

ニーズを探るために、あなたはどんな質問をしますか?

「美人と言われていた頃の自分を取り戻したい」

「これまで何か治療を受けたことはありますか?」というような質問を思いついた方がいるかもしれません。

ただ、それは、顕在ニーズを確認するための質問なのです。

ここで、本当に聞かなければならないのは、「なぜ、目の下のクマやしわが気になるのですか?」「なぜ、それが重要なのですか?」という質問です。

その質問に対して、女性が次のように答えたとします。

「最近、同窓会があって、友人よりも老けて見えた気がするんです」

「目の下のクマやしわを何とかしたい」という顕在ニーズと、この回答との関係性を探るためには、次のような質問が必要です。

「そうなんですね。なぜ、同窓会での自分の見た目が気になるのですか?」(センシティブな話題ですからプロとして寄り添った姿勢でお伺いするべきです)

それに対して女性が次のように答えたとします。

「高校時代、皆から美人と言われていたので、その頃の自分を取り戻したいんです」

これが彼女の本当の「目的」=「真のニーズ」だったのです。

それがわかれば、あなたは「真のニーズ」を叶えるための最適な治療やケアを提案することができます。