「顕在ニーズ」を叶えるだけでは足りない

こういった状況で、「真のニーズ」の重要性をよく理解していなければ、「目の下のクマやしわをできるだけ目立たなくする」というような、顕在ニーズを叶えるためだけの提案をしてしまいます。

しかし、それはお客様の「真のニーズ」を叶えることにはなりません。

場合によっては、価値を持たないムダな提案になってしまうでしょう。

そうではなく、「目の下のクマやしわが気になる」と思った目的をきちんと理解したうえで、「真のニーズ」を叶えるべきなのです。

他人からすれば、「何であんなサービスが必要なんだろう?」と思うものでも、そのサービスを受けようとする人がいます。

その裏には、そのサービスを受けて達成したい、その人なりの「目的」があります。「目的」を捉えられるようになると、「これが、相手が求める真のニーズだ!」と特定できます。

そのためには、先ほどの会話例のように、相手に「なぜ、それが欲しいのですか?」という問いかけをしなければなりません。

仕事ができる人は「ニーズの裏のニーズ」がわかる

お客様が、「○○が欲しい」「○○したい」と言っているとき、そこで言語化されているのはあくまでも「顕在ニーズ」です。

大切なのは、その言葉の裏に存在する「ニーズが発生した理由や原因、その背景」を明らかにすることです。

これを聞き出せれば、「真のニーズ」を確定できます。

私は、それを「ニーズの裏のニーズ」と呼んでいます。

「ニーズの裏のニーズ」を捉える力こそが、「仕事の考え方」を支える土台となります。

今回はセールスにおける例でしたが、仕事の中では、お客様のニーズだけでなく、自分の上司からの依頼、同僚からの依頼、他部署からの依頼など、「依頼」という顕在ニーズの裏にも、「ニーズの裏のニーズ」が潜んでおり、その「ニーズの裏のニーズ」を捉えて仕事ができる人が、「あの人は仕事ができる」と言われるようになるのです。

「ニーズの裏のニーズ」を捉えることができていない人は、仕事のやり直しも多くなります。本当の目的をわかっていないため、目的を叶えるための「必須の仕事」ができず、指示された「表面上の仕事」だけを行ってしまうので、追加の指示を繰り返し受けることになってしまうのです。