「高校辞めて、声優になる!」への正しい対処法
●思春期の子どもに親ができること:その2
「3日坊主は経験豊富と思え」
(芸人、声優、ゲーマーは通る道と心得よ)
これは高校生の親からよく聞く話である。子どもが突然、こんなことを言い出すそうだ。
「私、高校辞めて、声優になるから!」
類似の発言には「芸人になる」「プロゲーマーで生きる」「ダンサーになる」といったものもある。
突然、子どもからこういう宣言を受けて、頭の中に「?」マークが飛び交う親は多い。現実逃避の匂いがプンプンするゆえ、「まずは、中学生・高校生という本分をわきまえろ!」と一喝したくなるのだが、ここでお勧めしたいのは「急がば回れ」理論である。
ある中高一貫校の校長先生は「中高生は《なんちゃって》が多い」と言っていた。自分が何者かがよく分からずに模索している年代なので、頭の中で「これ!」と思い込むものができると、それに向かって一直線、他のことが一切、考えられないという状態にはまりやすいのだそうだ。
思春期にありがちな一種の熱病と言えるかもしれないが、その対策は阻止することではない。どういう問題であっても子自身が「納得」しなければ、何も動かないのだ。
ひとまず親は、子を容認してやり、その思考が「本物」かどうかを本人に見極めさせる時間を渡さなければいけないと思う。
▼「3日坊主でも、やらないよりはよほど良い」
「声優になりたい」という希望があるとき、その厳しさを親の想像だけで説いてはいけない。そうではなく、声優学校に見学に行くなり、講師の話を聞かせてもらうなり、現実問題としてどういう職業で、どういう成り立ちであるのかということを本人に調べさせる。そのために「行動せよ」と助言するのだ。その結果、子ども自身が理想と現実の折り合いを付けられるようになる。
まさに急がば回れなのだ。子の気持ちが「本物」なのか「なんちゃって」なのかは、本人が本気で体感していく中でしか気付きは得られない。
「本物」であれば、親は子どもの人生を応援するしか道はないが、もし「なんちゃって」であったとしても、私はこう思っている。
「3日坊主は経験豊富。やらないよりはよほど良い」
人生はいろんな匂いをかいだほうが満ちるのだ。無駄なことはひとつもない。