「100グラムで3万5000円!」のコーヒー豆

2017年の「ベスト・オブ・パナマ」で落札したコーヒー豆の中には「1ポンド当たり601ドル」(約454グラム当たり約6万7300円=当時の為替レート)と史上最高値でサザコーヒーが共同落札した豆(エスメラルダ農園産)もある。

サザコーヒー本店の店内

このコーヒー豆「Esmeralda Geisha Canas Verdes Natural」(エスメラルダ・ゲイシャ カーニャス ベルデス)が販売された。価格は100グラムで3万5000円だ。

「インターネットや電話で注文を受けてから販売する『受注販売』の形をとっています。パナマ・ゲイシャの中でも段違いに高価な豆なので、鮮度管理に気を配り、より最適な状態で提供しています」(サザコーヒー本店本部統括部長の砂押律生氏)

2016年の「ベスト・オブ・パナマ」で「1ポンド当たり275ドル」(約454グラム当たり約3万2000円=当時の為替レート)で落札した「ゲイシャ」豆もあった。サザコーヒーの店舗では1杯「3000円」で提供した(予定量に達したため品切れ)。そんな高いコーヒーでも、「サザコーヒー本店では2日に1杯程度、全店では1日に2~3杯ご注文がありました」(砂押氏)という。17年に落札した複数の豆も、これから店で提供される予定だ。

スタバより「コーヒーを追究」する

スターバックスは、中間業者を通さずに生産者から直接コーヒー豆を買い付けており、使うのは高級豆であるアラビカ種のみだ。それを独自の手法で焙煎し、カップに注いだ時の香りや酸味、コクや風味が最高となるよう抽出する。このやり方で顧客層を広げてきた。

そのスタバよりも、さらにコーヒーを追究するのがサザの強みだ。「茨城のコーヒー屋」(太郎氏)でありながら、コロンビアに自社コーヒー農園を持ち、「サザ農園」というコーヒー豆も販売する。生産地には頻繁に出かけ、エスメラルダ農園にも足を運ぶ。「パナマ・ゲイシャ」も「サザ農園」のコーヒーもおいしいが、まったく違う味で、農園ごとの個性が出ている。実は農園の中でも栽培場所によって味が変わるという。

注目したいのは、「将軍慶喜にちなんだ豆」や「世界最高級の豆を買い付ける」という話題性を掲げながら、その活動は主力商品である「コーヒーに特化」していることだ。決して羊頭狗肉な中身にはしない。店で提供する飲食も、味はもちろん、できる限りの無添加無農薬や放射性物質のチェックを行い提供する。それも現代の消費者に支持されるのだろう。

高井尚之(たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。
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