“御用新聞”の読売はもちろん解散賛成
読売社説(9月19日付)は冒頭から「前回の衆院選から3年近く経過しており、この時期に国民に信を問うのは異例ではない」と書き、安倍首相の衆院の早期解散への決断を正面から支持する。さすが安倍政権の御用新聞といわれるだけはある。
安倍首相が決断した理由については「一時は急落した内閣支持率が回復傾向にあることがある」とする。
民進党が相次ぐ離党で混乱し、小池都知事周辺による新党結成も始まったばかりだとして「野党の準備が整う前の方が有利だという戦術面の判断もあろう」とも書く。
さらに読売社説は「首相が解散権を行使し、衆院選に勝利することで、重要政策を遂行する推進力を得ようとすることは理解できる」とまで擁護する。新聞の大黒柱の社説でここまで書くところこそ、御用新聞なのである。
「政治的空白」をどう乗り越えるのか
「今回は、北朝鮮の核とミサイルの脅威が拡大した中での選挙戦となる。いかに日米同盟を強化して抑止力を高め、中国、ロシアを含めた国際包囲網を構築するか、しっかり論じ合う必要がある」
「安倍政権は、安全保障関連法が日本の平和を守る法的基盤として機能していることを具体的に訴えることが重要だろう」
こう書かれると、読者は読売社説の論の展開に吸い込まれてしまうが、ここで一歩退いてよく考えてほしい。具体的には前述した朝日社説の「北朝鮮情勢が緊迫化するなかで、政治空白を招く解散には明確な大義がいる。その十分な説明がないまま、疑惑隠しや党利党略を優先するようなら、解散権の乱用というほかない」を思い出してほしい。
簡単に説明すると、同じ北朝鮮問題について読売社説は「日米同盟や安全保障関連法が重要になる」と書き、朝日社説は「解散選挙は政治的空白が生じる」と指摘する。たぶん読売社説は一日早く紙面化された朝日社説を読んで、どう書いたら自らのスタンスを訴え、反朝日の姿勢を示せるかを論説会議で論議して書いたのだろう。