【2】3大キャリア vs 格安スマホ

▼中国製の最新端末は新品で2万円台から

ガラケーからスマホに変えると、毎月の携帯代は1万円近くになる。この負担増への対応策として、「格安スマホ」が注目を集めている。格安スマホは「MVNO」と呼ばれる格安の通信回線と、「SIMフリースマホ」と呼ばれる廉価な端末を組み合わせたものだ。

MVNOとは、NTTドコモ、au、ソフトバンクという3大キャリアから回線設備の卸売りを受け、その回線を消費者に小売りしている通信事業者だ。そのうち最大の勢力がドコモ系の事業者だ。IIJや楽天、イオンなどが展開していて、様々な料金プランで競争している。またドコモの端末であれば、ドコモ系のMVNOへ簡単に乗り換えできるので、その点でも人気が高い。

たとえば楽天モバイルの場合、3.1GBの通信と通話可能なプランが月額1728円だ。ドコモのスマホは月額7020円からなので、その差額は約5300円。年間では6万円強となる。通話が少ない人は確実にお得だ。

au系では同じKDDI系列のUQと、関西電力系のmineoがある。ソフトバンクは「Y!mobile」というサブブランドで、他社のMVNOと同水準の価格を展開している。運営会社はソフトバンクなのでMVNOとは言えないが、同列に扱っていいだろう。

こうしたMVNOに組み合わせるには「SIMフリー」のスマホが最適だ。現在、アップルやサムスン、ソニーなどの最新スマホは10万円近くする。高額だが、3大キャリアで契約すると、毎月の料金から割り引かれ、実質2万~3万円で持つこともできる。ただし、その場合、毎月の料金は1万円近くなる。また端末には「SIMロック」がかけられていることがあり、通信会社は乗り換えられない。

一方、MVNOでは端末代を割り引く仕組みがないかわりに、毎月の料金を低く抑えている。この数年、中国製や台湾製の廉価なスマホの性能が上がり、最新スマホとも遜色ない動作をするようになった。こうした機種は通信会社を選ばない「SIMフリー」とすることで価格を下げており、価格は新品でも2万~5万円と手頃だ。

現在、MVNOは200社以上もあり、「SIMフリー」のスマホをセット販売することで、格安スマホとして売り出している会社も多い。たとえばイオンモバイルではZTEという中国製のスマホと音声通話回線をセットにした商品を2万2464円で販売している。毎月の料金は1GBのデータ通信がついて1382円。同じ1GBのプランがあるauやソフトバンクでは5292円だから、3910円も割安という計算になる。

格安スマホの価格は魅力的だが、いくつか注意点もある。MVNOでは価格を抑えるために、1回線あたりの人数をかなり増やしている。このため繁華街や満員電車などでは、3大キャリアにくらべて通信速度が落ちてしまう傾向がある。混雑時に「卸元」が優先になってしまうのは仕方がない。

また店舗をもたない会社も多い。端末の故障時に代替機を用意してくれるような会社は稀だ。メールや電話帳のバックアップを取っておくなど、トラブルに対しては自己責任で臨む必要がある。今後、格安スマホのシェアはさらに伸びるだろう。利用者が増えれば、サポートの体制も徐々に整う。乗り換えを検討してもいいだろう。