【4】公式ショップ vs 怪しい併売店
▼西池袋で発見した「2万円CB」の実態
携帯電話の販売店は、「キャリア店(公式ショップ)」と「家電量販店」「併売店」の3つに分けられる。
このうち最も価格が安いのは、繁華街などにある「併売店」だ。これは携帯電話専門の販売店で、2年ほど前まで「キャッシュバック」と呼ばれる異常な割引を繰り返していた。私が確認したものでは、家族4人分の携帯をまとめて乗り換えると、端末代金が無料になるうえ、現金40万円が1カ月後に振り込まれるという事例があった。
こうした割引を可能にしていたのが、キャリア各社が行っていた「販売奨励金(インセンティブ)」だ。自社の回線契約を増やし、他社の回線数を減らす「乗り換え」に注力し、携帯電話に現金をつけてばらまいていた。
しかし過度な競争が市場を歪めているとして、総務省が今年はじめから厳しい指導を重ねた結果、こうした過激な割引は姿を消した。「実質0円禁止」を徹底するため、抜き打ちでのパトロールも行っており、併売店は閉店に追い込まれるところも少なくない。
今回、店頭での価格を調査したところ、一部の併売店ではいまだに「実質0円」や「キャッシュバック」をしていることがわかった。
たとえば東京・池袋の併売店では、2016年8月上旬に2万円のキャッシュバック案件があった。対象はドコモの最新機種「Galaxy S7 edge SC-02H」。ドコモ以外から乗り換えた場合、端末代は0円で、さらに11個の指定オプションに2カ月加入して6800円を負担すれば、2万円の現金が後日振り込まれる。実質的なキャッシュバック額は1万3200円というものだった。
なお有料オプションは音楽配信サイトや動画ストリーミングサイト、グルメサイトなどで、いずれもドコモとは関係のない企業のサービスだった。このため店舗が独自にネットサービス会社などと契約して販売奨励金を得ているのだろう。キャリアからの販売奨励金が期待できないため、独自にキャッシュバックを行っているようだ。
このほかにも、東京・秋葉原の家電量販店では、3240円の事務手数料をゼロにするキャンペーンが行われていた。条件はキャリア系のオプションに複数加入することで、加入直後に解約すれば支払いは発生しない。
こうしたキャンペーンは月末、特に期末の9月末や3月末に大きく展開されることが多い。乗り換えや購入では、この9月末がおすすめだ。
【販売店は大きく3つに分類できる】
[キャリア店]
●ドコモやソフトバンクなどの看板を掲げている
●メインは顧客へのサポート業務
●店舗によって運営会社が違い、販売価格も異なる
[家電量販店]
●複数のキャリアが店舗内にブースを出店
●販売がメイン。取扱数が多く、ポイントもつく
●店舗独自のサポートに加入することもできる
[併売店]⇒「実質0円禁止」で販売不振にあえぐ
●携帯電話専門の販売店。繁華街に多い。
●キャリアからの「販売奨励金」で過激な割引あり
●複雑なオプション加入が割引条件になることも