4月6日、総務省の審議会は、楽天の携帯電話事業への新規参入を認めた。これで楽天は「第4の携帯電話会社」として、13年ぶりの新規参入をはたす見込みだ。ただし新規参入を認めるにあたり、審議会は楽天だけに「自社でネットワークを構築すること」など4つの追加条件(※記事末尾)を課した。先行きが危ぶまれる楽天参入の成否をわけるカギはなにか。証券アナリストが分析する――。

※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の掲載記事を再編集したものです。

楽天は今回が参入のラストチャンスと考えた

楽天が2019年中に携帯電話のキャリア事業に参入することを発表した。背景には、携帯電話の通信料金を安くしたいという総務省からの呼びかけがある。通信規格「4G」の周波数帯を取得できるのはあと1社という状況でもあり、楽天は今回が参入のラストチャンスと考えたようだ。

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同社はもともと12年、イー・アクセス(現ソフトバンク)が売りに出たときに、携帯電話事業への参入を検討していたが、断念。再び携帯電話事業への参入を決めた理由は、楽天が提供するサービスの顧客基盤への自信がある。たとえば、楽天会員数は17年9月地点で9340万人となり、1億人突破も視野に入っている。

それにより楽天会員の登録情報を活用して、誰がどのキャリアを使っているかを把握し、ピンポイントかつ安価にプロモーションを打てる。

結果、顧客獲得コストは大幅に下がり、他社に比べて4~5割程度の料金で利用可能になるという。また、楽天で買い物をし、そこで獲得した楽天スーパーポイントで電話料金が払えるなど、さらなる有機的なシステムが完成するだろう。