楽天モバイルに追い風吹く中の「?」

2017年12月、楽天が携帯電話事業に新規参入する意向を表明した。現在、携帯などの通信回線網を自社で設置して運用するMNO(Mobile Network Operator・移動体通信事業者)は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリアに収斂している。今まで楽天は、MNOの回線網を間借りしてサービスを提供するMVNO(Mobile Virtual Network Operator・仮想移動体通信事業者)として、「楽天モバイル」の事業を展開してきた。それが今後はMNOとして第4の通信事業者を目指す、ということだ。計画案によれば、新会社を設立し、19年中のサービス開始を予定。1500万人以上の顧客獲得を目標としている。この動向に、メディアや識者からは先行きを案じる声も聞かれた。

写真=iStock.com/hedgehog94

新規参入にあたって、楽天はまず周波数帯を獲得する必要がある。総務省は現在、4G(第4世代携帯電話システム)用周波数の1.7GHz(ギガヘルツ)帯を2枠、3.4GHz帯を2枠、追加割当を検討している。18年1~2月に受付を開始し、3月には割当先が決まるスケジュールで、楽天は1.7GHz帯、3.4GHz帯のどちらかを第1候補にして申請を行う。

大手3大キャリアも同時に申請するはずだが、楽天は申請すれば少なくとも1枠は獲得できるだろう。審査では新規事業者を優遇する決まりになっているからだ。審査基準として「8年後に80%」もしくは「5年後に50%」という人口カバー率も求められるが、これについては「達成できる見込みである」という計画を提出すればいい。

しかし参入のタイミングは適切だったのか、疑問が残る。総務省はこの数年、スマホの料金引き下げを視野に入れ、MVNOを後押ししてきた。さらに楽天モバイルには、追い風が吹いてきた状況でもあったのである。

格安スマホの中で独特なポジションにあるのが、KDDI傘下のMVNOであるUQモバイルとソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルだ。この「キャリアサブブランド」と呼ばれる2ブランドは、全国に通信網をめぐらせ、通信速度もキャリアに引けを取らない。楽天モバイルを含むMVNO事業者からは「ネットワーク面で優遇されて、ミルク補給をされているようなものだ。これでは競争できない」という批判の声があがっていた。

それを受けて総務省は、キャリアサブブランドとMVNOが対等に競争できる仕組みをつくろうと、検討会を発足させたところだった。初会合は17年末。キャリアサブブランドに規制をかけて、MVNOを振興しようという方向性であり、「あえてMNOに進出せず、MVNOとして戦っていてもよかったのではないか」と見る向きもある。