「自分の決断」は99.9%社会的な影響を受けている

感じのよい担当者やセールスマンから、不要かもしれないと思いつつ品物やサービスを購入してしまった経験があるかもしれない。そういった人たちは、相手に気に入られる、好かれる術に長けている。もし、それが不要かもしれないと疑念を抱くのであれば、できるだけ会わないようにする(あるいは、書類やEメール上でやりとりをするようにする)というのも方法の一つだ。非合理的な決断をしないよう、あらかじめ自分で影響力を取り除いておくのだ。

知らず知らずのうちに、私たちは他人の行動から影響を受けている。「自分の決断だ」と思っていることでも、その99.9%は、社会的影響力に方向づけられているのだ。

だが、その決断のしくみをわかっていれば、相手にどういう影響を与え、どういった決断をさせるか操ることもできる。影響力を利用すれば、物事をうまく進めることができるのだ。

「まねをする」というのは、この社会的影響力を利用するテクニックの一例にすぎない。よりよくメカニズムや手法を知ることが、仕事にプライベートに、自分の人生も、周りの人生も豊かにすることにつながっているのである。

ペンシルベニア大学ウォートン・スクールマーケティング准教授 ジョーナ・バーガー(Jonah Berger)
一流学術誌に数多くの論文を発表するほか、ニューヨークタイムズ、タイム、サイエンス、ハーバード・ビジネス・レビューなどに寄稿し好評を得る。また、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、リンクトイン、GM、コカ・コーラなど、フォーチュン500からスタートアップまで、数多くの企業で講演・コンサルタントを行う。近著に『インビジブル・インフルエンス 決断させる力』(東洋館出版社)がある。
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