たとえ優秀でも、その経験を積まないまま、部課長の職を続けていたらどうなるか。

「そういう人は、与えられた課題を解く力はあっても、自分で課題を発見する力がありません。あるいは戦略づくりに熱中してしまい、肝心の実行がともなわない。打席に立とうとしないで、素振りばかりしているバッターのようです」と岡島氏は手厳しい。

できれば若いころに、岡島氏がいう修羅場を体験していることは、役員になるために不可欠の条件なのだ。

では、出世する人はそのとき、どのような行動をとっているのか。

プレジデント誌では今回、岡島氏をはじめ、企業の役員や役員候補の事情に詳しい第一線のヘッドハンター3氏に協力を仰ぎ、「役員になる人の行動パターン」の解明を試みた。その結果、意外ともいえるエリートの素顔が浮かび上がってきたのである。

プロノバ社長 岡島悦子
筑波大学国際関係学類卒業。三菱商事、米ハーバード大学経営大学院(MBA)、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年、グロービス・マネジメント・バンクの設立に参画。05年代表取締役。07年から現職。アステラス製薬などの社外取締役もつとめる。
(宇佐美雅浩=撮影)
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