同期で一番に管理職になった人ほど、その後の昇進は意外なほど停滞してしまいがちだという。そんな出世と社内政治の微妙なメカニズムを、100社以上の人事を見てきたエリート人事コンサルタントが鋭く解説する。

4つのタイプのうち上り詰めるのはどれか?

あるプロジェクトで、どのような昇進ルートを経てきた人が役員になりやすいのか、ということを分析しました。そのときの検討ポイントは、どういった部署を経験させれば効率的に役員を育てられるのか、ということだったのですが、残念ながらその意味では有効な分析結果が出ませんでした。

しかし別の視点で分析したときにわかったことがありました。それは、課長、部長それぞれの代表的ポストに昇進した年齢と、最終的に役員になれたかどうかということの関係です。あなたなら次の4つのタイプのうち、どの人が役員になりやすいという結果になったと思いますか?

(1)課長になるのも部長になるのも早かった人
(2)課長になるのは早かったけれど、部長になるのは遅かった人
(3)課長になるのは遅かったけれど、部長になるのは早かった人
(4)課長になるのも部長になるのも遅かった人

正解は、(3)です。課長になるのは遅かったけれど、部長になるのは早かった人。そしてその次が(1)です。課長になるのも部長になるのも早かった人でした。さらに、(2)と(4)から役員になった人はいませんでした。

普通に考えると(1)が一番早そうですが、そうではないのです。むしろ、早く課長になった人のほとんどはそのまま(2)のように、部長になれなかったか、平均よりも遅くに部長になってしまっていました。

理由は簡単です。早く課長になった人には敵が多かったのです。