遺伝子解析サービスが国民に普及すれば、医療費は抑制される!?

【田原】日本ではジーンクエストのほかに遺伝子解析サービスをやっている会社はないのですか。

【高橋】市場はあまり大きくないですが、ビジネスモデルはいくつかあります。ほとんどの会社は、遺伝子解析を販促ツールの1つとして使っています。たとえばダイエット関連の数種類の遺伝子だけを調べて、その後のサプリメントや化粧品の販売につなげるなど、物販でマネタイズするというモデルです。私たちのほかに大規模な解析をしているのは、限られています。

日本はまだ市場が小さいですが、大きなプレーヤーもおらず、ブルーオーシャンです。差別化して競争するより、もっと他にも遺伝子解析サービスをやる会社が出てきて、市場自体が広がっていけばいいと考えています。

【田原】遺伝子解析を受ければ病気の予防や創薬に役立つ。日本はいま医療費で苦しんでいますが、みんなが受けて活用するようになれば医療費の抑制にもつながりますね。国はどう考えているんだろう。

【高橋】国は、ルールづくりをしながら遺伝子ビジネスを健全に発展させていく方向性だと思います。ただ、経産省や厚労省など、省庁によって少し温度差はありますね。

【田原】そこでも医者の反対がすごいのか。健康や財政のためには、日本人の多くが遺伝子解析を受けたほうがいいのにね。

【高橋】中には遺伝子解析を行って、自分の病気のリスクを知らなければよかったと後悔する人がいるかもしれません。世界にはクウェートのように全国民のDNA検査が必須になっている国もありますが、日本では全国民強制にはならないでしょうね。遺伝子解析を受けたいと思った人が、そのメリット、デメリットを理解して納得したうえで気軽に受けられる状況を、まずは作っていきたいなと思います。

高橋さんから田原さんへの質問

Q. 新しい挑戦に反対する人を説得するには?

【田原】この質問は、おそらく遺伝子解析サービスの普及に難色を示している医師会や役所を想定しているのでしょう。何かの団体を相手にするときは、まずは交渉相手として具体的な人を見つけることが大事です。顔の見えない組織に向かって何を言っても、聞き流されるだけですから。そして敵対するのではなく、相手にもプラスになることを示して説得する。それが基本です。

多勢に無勢だと感じるなら、こちらも仲間を募ればいい。1人では声が小さくてかき消されてしまうかもしれませんが、同じ志を持った仲間と声をあげれば、無視できなくなります。
いずれにしても、既得権益を持った組織に反対されるのは、高橋さんがやろうとしていることが画期的である証拠。くじけずに、ぜひ説得を続けてほしいですね。

 

田原総一朗の遺言:「1人で戦わずに仲間を募れ!」

編集部より:
次回「田原総一朗・次代への遺言」では、ラクスル社長・松本恭攝氏のインタビューを掲載します。一足先に読みたい方は、5月23日発売の『PRESIDENT 6.13号』をごらんください。PRESIDENTは全国の書店、コンビニなどで購入できます。
 
(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
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