遺伝子解析はデータビジネス
【田原】高橋さんのところは自分たちで遺伝子解析サービスをやるだけでなく、ヤフーとも提携していますね。これはどういうことですか。
【高橋】いまヤフーさんも遺伝子解析サービスをやっているのですが、実際の解析作業はOEM提携という形で私たちが担っています。
【田原】ということは、実際にサービスをしているのは高橋さんたちで、ヤフーが営業してくれるということ?
【高橋】サービス主体であるヤフーさんはたくさん会員を持っているので、お力を借りたほうが一般の方にリーチしやすい。
【田原】ひとつお聞きしたい。解析代は約5万円ですね。これで黒字になりますか。
【高橋】いま1個売れると少し利益があるという状況です。ただ、遺伝子解析はリピーターがいないサービス。遺伝子情報は一生変らないので、2度目がないんです。だから個人向けの遺伝子解析サービスだけではビジネスにならないというのが本当のところです。
【田原】じゃあ、どうやって会社を続けていくのですか。
【高橋】ビジネスとして大きいのは、遺伝子解析サービスで集まったデータの活用です。アメリカで同じ事業を展開している23andMeという会社は、集めたデータを製薬会社に提供して共同研究しています。
【田原】それで製薬企業からお金をもらうと。
【高橋】そうですね。簡単にいうと、データビジネスです。
【田原】先ほど、このサービスはリピーターがいないとおっしゃった。でも、製薬会社へのデータ提供はリピートがありますね。製薬会社はいろいろな薬を開発しているわけだから。
【高橋】そうですね。だからビジネスとしては、いかに価値のあるデータを数多く集めるかということがポイントになります。
【田原】そうなると、個人のお客さんにとって気がかりなのはプライバシーです。とくに日本人は個人情報保護法以来、個人情報が外に漏れることに対して過敏になっている。そのあたりの対策はどうですか。
【高橋】いま個人情報保護法の改正が議論されているので将来はまた変わる可能性もありますが、いまの段階でいうと、遺伝子情報単体では個人は特定できません。ただ、他の個人情報と一緒になると、究極の個人情報になることは確かです。ですから、個人情報と紐つけない形で匿名化して、情報の保管や提供ができる仕組みを作って特許を取得しています。セキュリティ対策はかなり綿密に設計しています。