2兆円の新契約が創出される生保市場

インターネットでのダイレクト販売や来店型ショップの台頭、金融機関との販売提携……人口減少、少子高齢化に打ち勝つ新しい商品や売り方が登場している生命保険業界。そうした状況の中、独自の商品開発で売り上げを伸ばしているのが損保ジャパン日本興亜ひまわり生命だ。2014年5月に発売した医療保険「新・健康のお守り」は発売11カ月で30万件の契約を獲得した。大手生保の牙城をいかにして崩すのか。高橋薫社長に聞いた。
──現在の生命保険マーケットをどのように捉えているか。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険社長 高橋 薫氏

【高橋】一概に比較はできないが、私が長年在籍した損害保険マーケットと比べると、ここまで景色が違うのかというくらい状況が異なる。損保の市場規模は約8兆円で、その9割を大手3社が占める。昨年は収入保険料が約3%(2400億円)伸長したが、そのほとんどが自動車保険の値上げによるもので、シェアに大きな変化はない。それに比べ生命保険市場は、営業社員による訪問販売での売り上げが縮小しているものの、それ以外のチャネルが伸び、毎年約2兆円が新契約で創出されている。シェアの低い当社のような存在にとってはチャンスだ。

──今後の製品開発では何が必要と考えているか。

【高橋】まず第一に、医療技術の進化についていくことが大切だ。最近は遺伝子検査や、iPS細胞といった新興分野に注目している。女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子検査の結果を基に、予防として乳房を切除したことが話題になった。遺伝子検査は告知義務など課題もあるが、発症予測を基に設計する新しいタイプの保険ができる可能性がある。

また、ICTの発達も見逃せない。特にウェアラブル端末を活用する保険も実現できると思っている。1日何歩歩いたか、ジョギングをどれぐらいしたかといった情報を集め、その結果に応じて翌年度の医療保険に反映させることもできるだろう。

──これまでにない商品をつくるうえでの障壁は何か。

【高橋】これまで保険は過去のデータを基に商品を設計してきた。これからはデータのない将来を予測、証明して商品に反映することが求められる。