9年間の勉強で税理士試験に合格
2006年に税理士法人を辞めて、中堅の出版社に転職した。2007年、35歳のとき、残り2科目に合格し、「全科目合格」となった。勉強をはじめてから、9年の月日が流れていた。
2009年、37歳で税理士登録をし、開業した。当初は、自宅で仕事をしていたが、半年後に事務所を渋谷に移し、15年暮れに、渋谷の新たな場所にオフィス「野田美和子税理士事務所」を設けた。企業からの依頼のほかに、経済団体などの講演、大学や専門学校の講師、マスメディアの取材、そして雑誌や書籍の執筆が次々と舞い込む。
「税理士としての知識や経験はもちろん大切なのですが、コミュニケーションや人あたりのよさなどのほうが、優先順位は高いと思います」
時折、プロフィールに驚く人がいるという。
「私は税理士業界の中では変わり種だと思います(笑)。学習院の仏文科卒で、父親は商店(魚屋)を営んでいて、税理士業界とはかけ離れた環境の中にいました」
開業後、学歴を意識することはほとんどないという。同窓で、会社を経営する人から仕事の依頼を受けることはあるようだ。学習院卒の税理士が集う懇親会に招かれることもある。
「学習院を卒業していなかったから、今の自分はないと思います。新卒時の就職も転職も、資格試験の勉強でも、プラスに働いた気がします。目の行き届くところで仕事をしていきたいので、業務を必要以上に拡大させようとは思いません。目の前の仕事に懸命に取り組むことを優先し、お客様を大切にしていきたいのです。
振り返ると、こうなりたい、という明確な意志は私にはあまりなかったのかもしれません。その時々の選択の結果で、今の自分があると思っています。学習院卒も、その1つなのかもしれませんね」