生涯をかけての仕事に携わりたい
野田美和子さんは、税理士として渋谷にオフィスを構え、企業や個人などの税務や会計、経理などの支援サービスをする。会社などの設立支援もする。都内を中心に首都圏、地方では東北や北海道、沖縄まで幅広い地域で活動をしている。
1991年に東京都の私立高校を卒業後、学習院大学文学部(フランス文学科)に現役で入学。1995年に卒業後、住友海上火災保険に入社した。就職活動では、大企業などの一般職を受けた。バブル経済が崩壊し、景気が悪くなっていた。
「第2次ベビーブームの世代で、同じ年の人が多いのです。景気もいいとはいえない時期でした。業界や会社を選ぶことは、なかなかできない状況だったのです」
住友海上火災保険(現三井住友海上火災保険)の一般職の採用試験では、エントリー者数が数千人で、内定は数人だったという。
「想像以上に激しい倍率で、びっくりしました。学習院卒という学歴が、有利に働いたのかもしれません。ほかの企業の試験を受けるときも、プラスの印象を面接官などに与えているように感じました」
自由な社風の中、人間関係にも恵まれ、充実した日々を送る。仕事にもやりがいを感じていた。一般職で入った女性の多くは、数年以内に辞めていく。野田さんは退職を考え始めた頃、生涯をかけての仕事に携わりたいと思うようになった。そこで、税理士の資格試験に挑戦をする。
「入学難易度が学習院と同じようなレベルの大学を卒業している方が、税理士に多数なられているように感じました。私にも、チャンスがあるかもしれないと思ったのです」
1998年、25歳のときに退職し、会計事務所でのアルバイト勤務などをしながら資格の学校に通った。税理士になるためには、5科目の試験に合格する必要がある。受験開始後3年間で、3科目に合格した。正社員として勤務するため、アルバイト先の会計事務所を辞め、別の会計事務所に転職した。勤務中に税理士法人に組織変更した。しばらく経ったのち、ある社員から、所長が野田さんの採用を決めた経緯を耳にした。
「住友海上火災保険の採用試験で多くの人の目を通して選ばれているから、間違いないだろうと話されていたようです。学歴にも、いい印象を持ってくださったみたいです」
仕事が増え、残りの2科目(消費税法、国税徴収法)の合格を前に足踏みをする。