私生活の規律も「チーム文化」
帝京大ラグビー部のクラブハウスを覗くと、その玄関の綺麗さと学生の礼儀のよさに驚く。クツはきれいに並び、泥も落ちていない。だれもが気持ちいい挨拶をしてくれる。
それがラグビーの勝負に関係あるのだろうか。そういぶかしがる人もいるかもしれないけれど、これは断言できる。ある。絶対に。
帝京大の7連覇は、私生活の規律と、努力の継続というチームの文化があればこそである。いかに潤沢な環境や学校の支援、学生の才能があっても、岩出監督の指導力とチーム文化がなければ水泡に帰す。
連覇の苦労は?
「守りに入ったら苦しい。居心地の良さとか、チャレンジする気持ちがなくなったらしんどいですよ。エアコンで(部屋の中が)あったかい空気になったら、そこを守りたくなるでしょ。でも改善しないと。挑戦心を持たないと、イノベーションは起こせません」
では、今季、プラスしたものは?
「質ですよ、質。4年生の活動の質とか、上級生の質をもっと上げようと思って努力してきました。コミュニケーションもです。グラウンドの中も外も、4年生ががんばってくれると、全体的に質が上がってきます。みんなのがんばりも違ってきますよ」
チームのスローガンはずっと変わらず、「エンジョイとチームワーク」である。約150人の部員の笑顔は、そのスローガンの実践ゆえだろう。別れ際、「7連覇の喜びは?」ともう一度、聞いた。
岩出監督はこちらの肩を軽くたたき、顔をくしゃくしゃにしたのだった。
「うれしくないわけがないじゃないですか」