連勝途切れても動ぜず

過日の全国大学選手権の決勝戦。主将のフッカー坂手淳史は左ひじ負傷でリザーブに回り、エースのフルバックの森谷圭介も直前の練習中のケガにより欠場することになった。そんな不測の事態があっても、岩出監督の自信は少しも揺るがなかった。

前半は苦戦した。が、岩出監督は学生たちに「もっとゲームを素直に楽しんでこいよ」と声をかけただけだった。

力みがとれた帝京大は強かった。全員で前に出て、右に左にテンポよくボールを動かし、トライを加えた。底力の差を見せつけ、27-17で東海大を降した。

そういえば、今季、関東大学・対抗戦グループでは筑波大に苦杯を喫し、対学生の公式戦連勝が『50』でストップした。大丈夫か、と思いきや、岩出監督は少しも慌てなかった。筑波大に負けたショックは? と聞けば、「全然」と笑った。

「(筑波大に)敗戦したからといって、チームに対しての信頼と自信は変わらないと、すぐに学生たちに言いました」

ひと呼吸おいて、こう続けた。

「だって、そこは怒らんところでしょ。怒ったら、アカンところでしょう」

それだけ、チーム作りに自信があるということである。指導の要諦は「本気・根気・元気」と漏らしたことがある。グラウンドでは、きめ細かく、丁寧に指導する。とくに基本プレーに関しては、繰り返し、からだにしみ込ませる。グラウンド外でも、ウエイトトレーニングや食事、そうじ、学校の授業など、私生活もちゃんとするよう指導する。