また、40代の女性を味方につけるポイントは、「上下関係をつくらないこと」だと多様な人材育成を手がける前川孝雄氏は言う。

「上司と部下の関係に立つのではなく、彼女たちがこれまで歩んできた軌跡、自負している強みを『尊重』し、お互いサポートし合えるような関係を築くことが理想的です」(前川氏)

例えば、女性は組織全体に波及した感情や気分を察知する能力に長けているので、「僕では気づかないこともあるので、メンバーの心のケアは任せたよ」とお願いする。また、女性ならではの視点からどんどんアイデアを出してもらうなど、経験豊富な40代女性を生かす場面には事欠かない。

その際、任せている領域に関しては、チームのほかのメンバーにも公言していくことがポイントだ。「この領域に関しては彼女が責任者だから、彼女の判断に従うように」と、はっきり「尊重」の姿勢を見せておきたい。

「男性は社内の出世が自己尊厳と密接につながっているので、同期より遅れるとすごくへこみます。でも女性の場合、社内よりも社会の中で求められているという実感のほうが大事です。『○○さんがいるから、取引先の社長も安心だと言ってくれている』などと、社外からの評価を率直に伝えることも女性の心に響きます」(前川氏)

前川 孝雄(まえかわ・たかお)
FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師
管理職研修や風土改革で企業のダイバーシティ推進を支援。『女性の部下の活かし方』(メディアファクトリー)など著書多数。

秋田 稲美(あきた・いねみ)
ドリームマップ普及協会代表理事
女性向けの目標達成ツール「ドリームマップR」を考案し女性活躍コンサルティングを展開。『女心をつかむ魔法のことば』(大和出版)など著書多数。

(遠藤素子=撮影)
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