「よく気のつく人」は、どこが違う?
たとえば会社に1日8時間いるとすれば、そのうち30分だけでいいから、他人のために費やす。「今日はAさんのために30分使う」と決めたら、その30分でAさんの手助けをしてもいい。あるいはAさんの話を聞いてあげるだけでも十分だ。さらに言えば、「いまから30分間、Aさんのことだけを集中して考える」でもいい。
人の短所はイヤでも目に入る。だが長所は努力しなければ見つからない。「あの人のいいところはどこだろう」「この人に私がしてあげられることは何だろう」というように、1日10分でもいいから、時間を割いて考えることを続けてみてほしい。そうやって今日はAさん、明日はBさん、あさってはCさん、というように少しずつ時間を提供していけば、半年後には広い意味での「モテ期」に突入する。どんなにみんなから嫌われている人でも大逆転が起こるはずだ。
たとえば世の中には「よく気のつく人」と、「そうでない人」がいる。これは生まれもった能力の差ではなく、どれだけ他人のために時間を使っているかの差でしかない。
僕の尊敬する他社の編集者に、非常に細やかな心配りのできる40代の女性がいる。彼女がある売れっ子作家の取材をしたときのこと。取材が始まる前、その作家はこの仕事が終わり次第、ただちに名古屋に行かなければいけないと言っていた。取材が終わってお見送りをするとき、彼女は、「先生、これをお持ちになってください」と言って、数枚の紙片を作家に渡した。名古屋市内の地図と、帰りの新幹線の時刻表をカラーで見やすく印刷したものだった。有名作家や各界の大御所から可愛がられる編集者だと聞いてはいたが、ここまで気が利くとは……。地図も時刻表も、携帯やスマホで調べることはできる。だが印刷したものが手元にあれば、なお便利だ。ネットで検索して印刷するのは数分もあればできる。要は実行するかしないかなのだ。