会話をしている場合は、会話が問題だと納得できる。しかし、黙っているのに、なぜか好かれる人、なぜか嫌われる人がいるのはなぜか。

男が好きな女と女が好きな女はぜんぜん違う

ノンバーバルコミュニケーションは、美しさや年齢、性別、体型などの主に容姿に関係する「静的な情報」、表情や仕草などの「動的な情報」に分けることができます。

会話をしていて嫌われる人・好かれる人がいるのは、会話が問題だとすぐに納得できますが、黙っているのに、なぜか好かれる人、なぜか嫌われる人がいるのはなぜでしょうか。

一つ目の要素は容姿です。同じことを話したとしても人から好かれやすい顔の人が話したほうが2割増しに聞こえます。これは、綺麗な女優が私生活も素敵な人生を歩んでいると思われがちなのと同じで、容姿が「盛る」効果です。では、人から好かれる顔とはどんな顔なのでしょうか。意外にも男女で異なることがわかっています。

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やはり「美人は得」という現実

実験で調べてみたところ、男性から好まれやすい女性の顔は、「女性的」「親近感がある」「健康的」な要素を含んでいました。一方、同性から好まれやすい女性の顔は、「男性的」「近寄りがたい」、クールな要素を含んでいました。万人に好かれる顔になることは簡単ではありません。しかし、表情という動的なノンバーバルコミュニケーションを使って、好かれる顔をつくることができます。

「初対面なのになぜか自分のことをペラペラと話してしまった」。そんな経験が誰にもあるでしょう。「相手が褒め上手で話術に長けていたから」と思うかもしれませんが、その要因は実は、相手の表情にあるのです。

相手の言葉や意見を頭で理解して心が動かされるよりも先に、相手の表情を見て自動的に脳が「心を許して大丈夫」「信じていい人だ」と判断することがあります。そのとき相手は、表情で人の心をポジティブに変えたと考えられるのです。

では、いかに表情で人の心をポジティブに変えるのでしょうか。実は意外と簡単なことです。口角をキュッと上げるだけ。口角が上がると表情筋が動き、頬の筋肉が前に張り出し、目尻が下がります。これだけで無意識的に相手が安心しやすいポジティブな顔になります。どんな人でも、好かれるために、まずは口角上げを意識すると効果的です。

反対に、口角を下げてしまうと、ネガティブな顔になってしまいます。すると、相手に不快感を与えかねません。会話も弾まなくなって、嫌われてしまうかもしれません。

顔学者・漫画家
上田彩子

1981年、東京都生まれ。理化学研究所研究員。顔認知に関わる実験心理学的研究を行う。著書に『「恋顔」になりたい! 愛される顔にはルールがある』『ヒトのココロの不思議がわかるココロ学入門』など多数。
(構成=牧野めぐみ 撮影=奥谷 仁)
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