どうすれば自分の顔を覚えてもらえるか

ノンバーバルコミュニケーションで、相手に好かれる方法を、いくつかお教えしましょう。

まずは笑顔が基本です。怒り顔の人と笑顔の人の写真を用意して、その顔を覚えてもらい、後日同じ人たちの無表情の写真で、「この顔を覚えているか」と確認する実験がありました。

その結果、実際に覚えているのは、圧倒的に笑顔だった人の顔でした(「笑顔優位性効果」)。笑顔でいる人のほうが記憶に残りやすいのです。相手に顔を覚えてもらうには、笑顔でいることが効果的です。

もう一つは、相手に同調することです。仕草や姿勢といった行動の同調、視線やうなずきといった表情の同調があります。同調すると、相手は自分に共感してくれていると感じ、好感度が上がります。例えば、ある人が会話の最中に顔を触るという仕草をした場合、同じように顔を触った人への好感度が、そうでない人に比べ上がることが、実験的にわかっています。

笑顔の人を見ると、自分も自然と笑顔になってしまった経験があると思います。これは「表情模倣」と言います。私たちは、無意識的にしろ、見た相手の表情を真似てしまう仕組みをもっているのです。交渉の場で、自ら局面を動かしたいとしましょう。

相手に出してほしい表情があるのなら、まず、自らその表情を出すことがオススメです。

顔学者・漫画家
上田彩子

1981年、東京都生まれ。理化学研究所研究員。顔認知に関わる実験心理学的研究を行う。著書に『「恋顔」になりたい! 愛される顔にはルールがある』『ヒトのココロの不思議がわかるココロ学入門』など多数。