言葉が通じない異国でも好かれる人はいる

「美人は得をする」「ブスは損をする」。この言葉を否定する人も多いでしょう。しかし、コミュニケーションにとって顔は特別なものです。例えば、急に異国の地に置き去りにされたとしましょう。当然、現地の言葉はわからず、正常なコミュニケーションをとることはできません。そんな状況でも、なぜか周囲となじみやすい人、なじむことが難しい人に分かれることは容易に想像できます。一体、両者の違いはなんでしょうか。

一つ目の違いは、それぞれの人のもつ顔のつくりです。文化を問わず好まれやすい「美しい顔」のほかに、同じ無表情だったとしても、微笑んでいるように見える「ポジティブ顔」、不快そうに見える「ネガティブ顔」があります。同じぐらいの嬉しさを表情に出した場合、ポジティブ顔の人はより嬉しそうに見え、ネガティブ顔の人は、あまり嬉しそうには見えません。

二つ目の違いは、表情や仕草、視線などの行動です。簡単に変えることが難しい容姿や顔のつくりと違い、表情や仕草などは本人次第で変えることができます。

顔や表情、仕草や視線など、黙っていても、相手に伝えることができるノンバーバル(非言語的)コミュニケーションは、円滑な意思疎通には必要不可欠なものなのです。

顔学者・漫画家
上田彩子

1981年、東京都生まれ。理化学研究所研究員。顔認知に関わる実験心理学的研究を行う。著書に『「恋顔」になりたい! 愛される顔にはルールがある』『ヒトのココロの不思議がわかるココロ学入門』など多数。