帝京大学との共同プロジェクト

その清水シェフが誕生させたのが、コース全ての料理を食べても糖質が8.6グラムという画期的なメニュー。徐々に人気が高まるなか、2013年秋に運命的な出会いを迎える。帝京大学の関係者が食事に訪れて低糖質の料理の味に感動し、「患者の人たちに喜ばれるし、医療費の削減という点での社会貢献にもつながる」といわれたのだ。それからとんとん拍子に話が進み、「健康と美食」をテーマに糖質制限食品を開発する共同プロジェクトが14年4月からスタート。清水シェフは店を閉めて、この事業1本に絞り込むことを決断する。

糖質制限のパン、クッキー、ジャムを商品化。

そして、この4月7日から発売されたのが、低糖質のパン、クッキー、それとジャム。「パンは小麦粉の代わりに大豆粉を使いました。その大豆粉の特有の匂いを消すことに苦労したものの、1個当たりの糖質はわずか3.3グラムに抑えられています。また、糖質が2.7グラム以下のクッキーの生地も大豆粉を使い、クリームを含めた甘みは浅田飴の甘味料『シュガーカットゼロ』で引き出しました」と清水シェフは話す。ジャムも通常は大量の砂糖を使用するが、この甘味料で代替した。さらに苺、紅玉、シナノゴールドといった長野県産のフルーツの甘みが加わり、普通のジャムよりもおいしいくらいだ。それでいて糖質は7グラム以下である。

税込みの価格は、パンが8個入りで1468円、クッキーは8個入りで2376円、そしてジャムが3本セットで2850円となっている。現在は閉店した銀座ラ・トゥールのウェブサイトでの販売のみであるが、今後は百貨店などでの販売ルートを開拓していく。

「口コミなどで注文が増え始めるようになりました。いま、ブドウの皮や雪下人参を使ったジャムの開発も進めています。また、帝京大学と共同で行っている毎月1回の低糖質の料理の講習会も積極的に進めるなかで、開発した糖質制限食品のことを多くの人にアピールしてきます」と清水シェフはいう。周囲に糖尿病の方がいたら、ぜひ教えてあげてみたらどうだろう。

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