本当は「朝から食べたくない」私たち
「朝食は、1日の活動のエネルギー源だから、必ず食べなければいけない」
西洋医学や栄養学では、こうした考え方が一般的である。昔のように、日の入りとともに就寝して日の出とともに起き出し、「朝メシ前」の一仕事をしてから食べる朝食にはたしかに意味があるし、必要なものであったろう。
しかし、現代では、食生活が個人によって千差万別で、夜の9時、10時に夕食をとるのも珍しいことではない。さらに深夜に就寝し、5~6時間の睡眠の後、寝ぼけ眼で起き出す。そんな朝、消化・吸収の役目をする胃腸はまだ目覚めておらず、人によっては前夜の飲食物が胃腸に残っていることもある。
現代の日本人を悩ませている生活習慣病は、高脂血症、高血糖(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)、高塩分血症(高血圧)、高体重(肥満)など、すべて「高」がつく病気である。早い話が「食べすぎ病」といえる状態なのだ。
「食べすぎ病」にかかっている人たちの体が、「朝から食べたくない」というサインを出しているのに、無理して朝食を食べることは、病気を悪くすることはあっても、いいことはまずない。朝食は、英語で breakfast。これは「fast(断食)を break(やめる)」して食べる食事」という意味である。前日の夕食後、特に睡眠中は何も食べずにミニ断食(fast)しているのと同じ状態にあたる。
本格的な断食ではなくても、短い期間でも断食をしたことのある方はご存知だと思うが、断食中には濃い尿や黒い便などが排泄され、人間の体が本来持つ旺盛な排泄現象にびっくりさせられる。
排泄物のうち、大便以外はすべて(汗や尿、発疹なども含めて)、血液の汚れが開口部を通して出てきていると考えられる。つまり、こうした排泄物が旺盛に出てくることは、汚れた血液をきれいにし、病気の予防や治療を促していることを意味しているのだ。 断食したような空腹の状態は血液をきれいにし、病気を予防し治すうえで、大変有効な手段なのである。
一般に本格的な断食の後は、1日目は重湯と味噌汁の汁、梅干し、大根おろし程度の食事に、2日目にはお粥と1日目と同様の副食に湯豆腐程度の食事にして、徐々に普通食に戻していく(これを「補食」という)。
断食後、急に普通食を食べたりすると、激しい下痢や嘔吐、腹痛に見舞われることもある。これまで、2、3日から1週間も休んでいた胃腸にとって、普通食はキツすぎるからだ。同様に、毎日の朝食は、ミニ断食後の1食目ととらえ、ごく軽い物にするほうがよい。
疲れが抜けにくい人や、体のあちこちに不調がある人は、ニンジン2本とリンゴ1個をジューサーでしぼって作るジュースを飲むことで、胃腸の負担も少なく体調を元に戻しやすくなる。
※本連載は『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』(石原結實 著)からの抜粋です。
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