生徒会の光景がまた独特である。昼休み、校舎にコの字に囲まれた中庭に1、2年の生徒と執行部生徒が集まってくる。3年生はといえば、2階のバルコニーに整列して参加する。単純に3年生の教室が2階にあるからという理由からだが、彼らは手すりにもたれかかるわけでもなく、私語をするわけでもない。1、2年生が芝に自由に腰をおろしているのと対照的に、階上からほぼ「きをつけ」の姿勢で下をみおろす上級生たち。いささかミステリアスにも感じる光景だ。「3年生のその姿を目にした1、2年生は生徒会の重要性を学んでいくんですね」(古川副館長)。
生徒だけで運営する行事は全部で4つ。文化祭、十里踏破遠足、予餞会、大運動会で、それぞれに運営委員会が組織される。とすると、こうした行事の運営、生徒会の活動にみずから手を挙げて汗を流す生徒たちが、修猷には大勢いるということになる。
「リーダーにはさまざまな形があると思いますが、サーバントリーダー的な人間に育ってほしいです」(奥山館長)
十里踏破遠足は40キロの道のりを1日がかりで歩き通すものだ。運営委員は毎年かわる新たなコース設定から奔走する。この担当になると、合計数百キロも歩くことになるという。休息場所の確保ではコース途中にある学校と交渉したり、救護班は応急の手当ての訓練から救急車の手配なども行うし、水や食料なども準備しなければならない。こうした活動には学校側はいっさい口をはさまない。
行事の中で生徒たちがもっとも力を入れるのが大運動会だ。これは福高、筑高ともに実施されるのだが、その規模、生徒の熱の入れようは他県の高校からみると、いささか常軌を逸しているようにみえるかもしれない。全校生徒は4つのチームに分かれる。業者が鉄パイプで組み上げた階段状の大きな櫓が4つ、それぞれのチームに割りあてられる。それをベースに応援合戦を繰り広げるのだが、運動会は競技そのものよりもこちらが主役といってもいい。生徒たちは授業が終わったあと、ダンスや組み体操、マスゲームの練習に明け暮れる。
福高の場合、櫓は来賓席にむかって横一列に4つならべて設置される。しかしそれでは、生徒が他のブロックの応援をみることができないのでつまらない。修猷では四隅に設置してそれぞれの応援をみやすいようにしている。ささいなことだがここでも「あくまでも生徒が主役」(古川副館長)という意志が貫かれている。