※本稿は、青戸一之、西岡壱誠『家庭教師の技術』(星海社新書)の一部を再編集したものです。
成績が上がる子が問題を解くときにしていること
Q 生徒の成績がなかなか伸びない。どうすればいい?
家庭教師をやっていると、生徒の成績がなかなか伸びない、という悩みを持つときがあります。一生懸命自分も頑張っているし、生徒も頑張っている。なのにどうして、なかなか伸びないんだろう、と。
その1つの原因として考えられるのが、「諦めが早い」ということです。
まず、問題を解いているときにどんな反応をしているのか、生徒の反応を見てみましょう。それも、難しい問題を解いているときの反応を見ていると、その生徒の伸び悩んでいる原因がわかることがあります。
もちろん、「その問題を解けているのかどうか」を確認しているわけではありません。別にたった1問の問題が解けたのかどうかで、成績が伸びるかどうかがわかるわけはありません。でも、問題を解くときに「あること」をしている人は、成績が上がりやすいのです。
それは、「手を動かしているか」です。
どんなに考えてもわからない問題を見たときでも、難しくて解けそうにない問題に出会ったときでも、成績が伸びるタイプや頭が良くなるタイプは、何かを書いている場合が多いのです。逆に、成績が伸び悩んでいるタイプは、何も持たずにじっと問題を見ているだけという可能性があります。
なぜあなたの子の数学の成績は悪いのか
例えば数学の問題を解いてもらうとしましょう。
「この問題は難しいけど、とりあえず2分間考えてみよう」と問題を出し、時間をはかった場合の反応は、生徒によって大きく異なります。
数学の成績が良いタイプや、これから伸びていく生徒は、必ず手を動かします。文章に線を引いたり、実際に数を当てはめてみたり、情報を整理したり、計算を始めてみたりと、何か文字を書いている場合が多いです。今は数学の成績が悪くても、わずかな知識の中でも何か懸命に文字を書いている生徒というのは、これから成績が伸びやすいのです。
それに対して、数学が苦手なタイプや、これから先伸び悩んでしまう生徒は、頭の中で考えようとします。手を動かさず、とにかく頭の中だけで組み立てて、「うーん」と考え込んでしまう場合が非常に多いのです。今の成績が良い生徒であっても、ただ頭の中だけで考える生徒は、その先で伸び悩んでしまう心配があります。
もちろん、難しい問題であれば2分間では答えまでたどりつくことはできないことがほとんどです。また、難しい問題であれば考え込んでしまうのもわかります。
でも、やっぱり東大に合格できる人は、どんなに難しい問題が出されても、頭の中だけで考えたりはしないんですよね。メモ用紙にちょっとしたことを書いてみたり、線を引いたり計算したりと手を動かしている場合がほとんどなのです。