どうすれば子どもの成績は伸びるのか。プロ家庭教師の青戸一之さんは「勉強の始め方が重要だ。努力が報われやすい教科から勉強を始めると、やる気が継続し、成績が伸びやすい」という――。(第2回)

※本稿は、青戸一之、西岡壱誠『家庭教師の技術』(星海社新書)の一部を再編集したものです。

教室で勉強している困った顔をした女子高生
写真=iStock.com/koumaru
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主要5教科はどれから始めるべきか

Q どの教科から勉強を始めるべきか?

学校で勉強するのは、主に国語、数学、英語、理科、社会の5教科です。「これから成績をあげたい」と考えている生徒に対して、どの教科を最初に重点的に努力してもらうと成績が伸びやすいでしょうか?

答えは「理科と社会」です。国語や英語よりも、理科と社会の勉強を頑張っている生徒のほうが成績が上がりやすく、頭も良くなりやすいのです。

一体なぜなのか、理由がわかりますか?

その理由は、理科と社会は「勉強すればするほど成績が上がっていく感覚」が得やすい科目だからです。

英語や数学は、努力がテストの点数として結果に出るまでとても時間がかかります。英語は英単語を覚えたとしても、それだけで点数が安定的に上がるとは限りません。

数学も、公式を覚えればそれだけで単純に点数が上がるわけではありません。それに対して、理科や社会は「ただ覚えれば点数になる」という問題も多く、努力がすぐに見える形で生徒の目の前に現れます。すなわち生徒のやる気が持続します。

プロ家庭教師がやっている工夫

当たり前ですが、「頑張ってもなかなか結果が出ない」というのは苦しいものです。特に勉強を始めたての段階では、頑張ったのに結果が出ないと、すごく苦しくなって勉強自体を投げ出してしまうことにもなりかねません。そうすると、せっかくやる気になった生徒の気持ちを無下にしてしまいます。

だからこそ、まず最初に頑張るべき教科は、勉強すれば勉強するほど結果につながっている感覚がある、理科や社会なのです。努力の手応えがないものから頑張り始めても、なかなか続けられません。

そうではなく、すぐに結果につながっていくものから努力を積み重ねていくほうが生徒のモチベーションにつながり、勉強の継続性が担保できるのです。

勉強の手応えを感じてもらうために、家庭教師ができる工夫もあります。

それは、「これを覚えればすぐ点数につながる」という知識をリストにまとめてあげることです。知識リストを覚えてもらったら、ちょっとしたテストを出題しましょう。そこで点数が取れれば、「頑張ったら結果が出る」というプラスの感覚を持ってもらいやすいですよね。

とにかく理科と社会を頑張って点数を取ってもらう。まずはここを勉強の第一ステップとするといいでしょう。そうすると1科目でも自信がついて、勉強のやる気につながり、「他の科目も頑張ろう」といういい波及効果があります。