変化に強くなるために「世界に挑戦してみませんか」

【徳重】読者の方への、僕からのメッセージは決まっています。「世界の市場に挑戦してみませんか」です。僕たちの先代の人たちは、安かろう悪かろう、今の中国みたいなイメージからはじまって今の日本ブランドを築いた。我々は彼らがマイナスイメージからここまで築き上げてきた場所からスタートできるわけですよ。スタートラインが違います。

今の日本はどこの国に行っても「NATO」って言われています。ノー・アクション・トーク・オンリーです。これが世界から見る一般的な日本人のイメージなんです。日本人は尊敬できるし信頼できるから大好きというプラスの面はある。しかしながら、ビジネス面においては真逆で、意思決定のなさ、スピード感のなさ、コミットメントできない人種なんですよね。

そんな中に僕らみたいにアクション取るやつが行けば、日本人に対する負のイメージが大きい分、評価がダブルでよくなるんです。そこに好機が出てくる。肌感覚でこれが分かるようになるまでには長年の経験が必要かもしれません。ただ、実際のビジネスでは、大手財閥が相手になることもあるし、その場合でも同じ評価をしてくれます。さらなる好機が得られるということは、いくらでも現実で起こり得るんです。

【窪田】私からの読者のみなさんへのメッセージは、「自分が変化に強くなっていくという意識をもって、少しずつでも違った環境に身を置くようにしてみてください。」ということです。それはアジアに出ていくことなのかもしれないし、欧米を選ぶのかもしれない。今までの自分が築いてきた固定概念や常識の枠から出ても生きていけるような力をつければ、再び日本に帰ってくる頃には目覚ましい付加価値がついているでしょう。

自分が組織に寄りかかるのではなく、自分の足で立てる人たちが集まった組織をつくる、それを目指せば自ずと周りから認められ、結果的に今の時代を生き抜くキャリアビルディングが出来るのではないでしょうか。

徳重さんとお会いして、経営者だろうが、それが政治家であろうが、いろんな武将であろうが、先人に学ぶ意義深さを感じました。私は理系であるがゆえに実験が大好きで、それを言い訳に本を読む時間を惜しんで実験をやっていたんです。しかし、何事もバランスは大事ですね。この出会いをきっかけに、日本の歴史上で偉業を成し遂げた先人に学ぶことを心がけていきたいと思いました。きっと読者の皆さんも同じように感じたのではないでしょうか。

窪田 良(くぼた・りょう)●1966年生まれ。アキュセラ会長・社長兼CEOで、医師・医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学院に進学。緑内障の原因遺伝子「ミオシリン」を発見する。その後、臨床医として虎の門病院や慶應病院に勤務ののち、2000年より米国ワシントン大学眼科シニアフェローおよび助教授として勤務。02年にシアトルの自宅地下室にてアキュセラを創業。現在は、慶應義塾大学医学部客員教授や全米アジア研究所 (The National Bureau of Asian Research) の理事、G1ベンチャーのアドバイザリー・ボードなども兼務する。著書として『極めるひとほどあきっぽい』がある。 >>アキュセラ・インク http://acucela.jp
(柏野裕美=構成)
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