「日本は安全、海外は危険」という考えは間違いです。どんな国や地域にも危険は存在します。ただしやるべきことをやっていれば、過剰に神経質になる必要はありません。83年から26年間続いた民族紛争で7万人以上が犠牲になったスリランカでも、毎日コロンボでテロが起きていたわけではありません。日常はいたって平穏。私も家族も知人の駐在員も、テロに巻き込まれ、怪我を負うことはありませんでした。

日本では考えられないような新興国での体験は間違いなくプラスになる。駐在員を経験した人は、そう口を揃えるはずです。家族を説得する材料は、ほかにいくつもあります。

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新興国への赴任で給与アップのケースも多い

新興国への赴任では、日本よりも大きな権限が与えられ、環境の厳しい国では「ハードシップ手当」が支給されます。さらに物価の安い新興国では、日本では想像もできないような暮らしができます。スリランカの自宅は7LDKの一戸建て。運転手と3人のハウスキーパーがいました。子どもたちは全校30人の日本人学校でのびのびと過ごし、休暇には毎年、家族で海外旅行をしました。休日には友人たちとゴルフやテニス、ダイビングを楽しんだり、自宅でパーティを開いたりもしました。

何より効果的な説得は、赴任経験者の体験談を聞くこと。当会でも赴任経験をもつ専門家によるセミナーを開いています。日本では危険な情報ばかりに目がいきがちですが、多くの駐在員と家族は赴任先での生活を十分楽しんでいますよ。

(構成=山川 徹 撮影=プレジデント編集部)
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