■立派な仕事は「完璧主義」から生まれる
「完璧主義」は、毎日の真剣な生き方からしか生まれない。日々「完璧を目指す」ことは厳しく、難しい。しかし、本当に満足できる仕事を目指すなら、「完璧を目指す」ことしか方法はないと説く。
■不可能を可能に変えるには、まず「狂」がつくほど強く思い、実現を信じて前向きに努力を重ねていくこと
願いをかなえたいならば、まず「すさまじく思う」こと。このことを稲盛は、松下幸之助の講演で学んだ。幸之助は、ダムに水を溜めるように経営も余裕を持ってすべきだと説いた。聴衆がそのやり方をたずねたとき、幸之助は「そんな方法は、私も知りませんのや。けれども、ダムを作ろうと思わんとあきまへんなあ」と答えた。
具体的な答えを期待していた聴衆はガッカリした。が、稲盛は心が呼ばなければ、やり方も見えてこないし成功も近づいてこないと考え、「思い」こそが最も重要だと理解した。それも「できたらいいなあ」程度ではダメで、潜在意識にしみ込ませるほど強烈に思うことが必要だと。
■あえて損をしてみる
KDDI創業時から稲盛は「国民のために長距離電話を安くし、貢献しよう」と言い続けてきた。その一方で、自社株を一株でも持つことはなかった。あえて損をし、さらにいっさいの欲を捨てたことが成功の秘訣だと、稲盛は語っている。
■「三毒」を断ち切る
108つあるといわれる煩悩のうちでも「欲望」「愚痴」「怒り」の「三毒」は、人間を苦しめる元凶であり、逃れられない「毒素」だと言う。この三毒について稲盛は、「欲と怒りと愚痴、不平不満だけは言うまい、言うまい、と思ってもすぐに出てしまう。ですからモグラ叩きみたいに出てくれば叩いて、叩いていく。じつはそのことが心を美しくしていく、魂を磨いていく大切な作業だと思う」と語っている。
■われわれは常に人間として何が正しいかを追い求めなければならない
世の中のどろどろとした醜い面や悪い例を見せつけられたとしても、「そうであってはならないはずだ。人間としてはこうあるべきだ」と、人として何が正しいか常に自らに問い、それを追い求めなければならない。
常に正しいものを求める心を持ち続けること、これは理想を追求し続けることと同じであり、われわれの生き方の基本となるべきものであると言う。