「派遣社員は従順でいいな」と言った上司もいる。偽らざる本音なのだろうが、「従順さが女の美徳」という古臭さにめまいがする。これは日本だけの現象かと思いきや、外資系企業でもこんな事件が。
「アメリカ人上司が『妊婦はミスが多いから、僕は妊婦と仕事をしたくない』と発言。それ以来、女性全員から嫌われています」
おそらく発言の主にそれほど悪意があるわけではないだろう。しかし女性を対等な仕事仲間、あるいは一人の人間として見ているとは思えない。それを察知したとき、女性は不快感を覚えるのだ。
逆に一人の人間として尊重されたとき、女性はうれしく思うものである。ある人は取引先の男性に定期的にご馳走してもらう機会があるそうだが、いつも気配りがすばらしいと言う。
「全然、恋愛とかじゃないんですよ。それなのに食べ物の好みをリサーチしてくれるだけでなく、あるとき私の好きなカサブランカがテーブルに飾ってあって、『この花、好きでしたよね』って。感激しました」
女はみんなバラが好きだからバラでいい、ではなく、この人は何が好きだろうと相手のことをイメージしたうえで、喜ばせてくれる。女というだけで、ひとくくりにされるのとは大違いだ。
「他人に不快な思いをさせない」ことはマナーの原点。だとすれば、ここに挙げたようなことを「いちいち細かいことに目くじらを立てなくても……」と軽く受け流してしまうのは非常に危険なことだ。
「自分は大丈夫」という人でも、無意識に他人に迷惑をかけていないかどうか、いま一度チェックしてみてほしい。それができる人こそ、職場で好かれる人になるのは間違いない。