できる人は仕事の進め方が違う
手帳を使う目的は、収入に関係なくスケジュール管理が一番でしたが、同じスケジュール管理でも、その内容は収入によってかなり違いが出ています。
年収1200万円以上と400万円台では、やるべきことを厳選している(44.2%/32.0%)、外出は効率的にまとめるようにしている(63.5%/50.8%)、残業しない日を自分で決めている(39.8%/25.1%)と、大きな差が出ました(図7・8・9)。
これらの結果からわかるのは、高収入の人ほど手帳を利用して、時間を上手に使っているということです。優先順位をつけ、無駄を排除し、自分が主体的に時間を管理できるようでないと、収入に見合うだけの仕事の量と質を担保できないからだと言い換えてもいいでしょう。
私が生命保険会社に勤務していたときは、金曜の夜にファミリーレストランに行き、来週やらなければならないこととやりたいことをすべて手帳に書き出し、優先順位をつけてスケジューリングするという「ひとり作戦会議」を必ずやっていました。これをやることによって生産性が格段に上がるのです。
また、アウトプットを増やすためには仕事を効率化すると同時に、仕事の密度を上げることも考えなければいけません。そう思ってアンケート結果を見ると、仕事の締め切りを手帳に書いている、締め切りより前倒しで仕事を進めるようにしている、午前中に集中する時間をつくっているという各質問に対し、年収1200万円以上と400万円台では、それぞれ63.5%と53.8%、73.3%と56.2%、46.8%と32.0%というように、やはり顕著な差が見てとれます(図10・11・12)。
それから、1日のTODOリストをつくっている人も、年収400万円台が27.5%なのに対し、同1200万円以上では41.4%とかなり開きがあります(図13)。これも1番の理由は仕事量の違いでしょう。高収入の人はそれだけ多くの仕事をこなさなければなりません。そのなかで細かいことまで含めたら、1日のうちやるべきことが100件などというのはざらです。そのすべてを記憶しておくのは土台無理。かといって電話1本かけ忘れただけでお客さんの信用を失うのがビジネスの世界ですから、多くの仕事を抱える人ほど、TODOリストを利用しないわけにはいかないのです。