受験勉強のためには、部活は辞めたほうがいいのか。東京大学野球部元監督の浜田一志さんは「部活を辞めても9割の受験生の成績は上がらない。むしろ部活を続けたほうが勉強とのメリハリがつき、結果が出やすい」という――。

※本稿は、浜田一志『東大野球部式 文と武を両立させる育て方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

白い背景に隔離された本とサッカーのスタックを保持する幸せな大学院生
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文武両道は「目的」ではなく「手段」

わが子を「文武両道の子どもに育てたい」と考える親御さんは多いようです。

知力と体力をバランスよく育て、社会人としての礼儀や振る舞い、他者とのコミュニケーション力も身につけてほしいという思いからでしょう。

もちろん、反対に、親御さんの教育方針で、

「文武両道ではなく、何か一芸に秀でたスペシャリストになってほしい」
「子どもの個性を活かして成長してもらいたい」

とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

ただし、その一芸に出会うことも文武両道の経験によって、より早く、より適切に見つけられるだろうとも思います。

「文武両道」を私なりに定義し、言い換えると「多様性の中で努力を続けること」と、講演などで皆さんにお伝えしています。

また、文武両道は目的ではなく、手段である、ともお伝えしています。

子どもの教育で、最も大切なことは、お子さんならではの「Identity(アイデンティティ):同一性」を得ることです。

アイデンティティというと少々ややこしいので、「得意技を見つけよう」と言い換えて伝えています。

幼いときは足が速いでもいいですし、電車に詳しいなど、まず得意なことをひとつ見つけることで可能性が広がっていき、それがひいては勉強の「得意科目」にもつながっていきます。