「直接経験」が貴重になる時代へ

かなり前のことになりますが、若いビジネスパーソンからキャリアに関するご相談を受けたことがあります。彼曰く「今、かかわっているプロジェクトはしんどく、自分の将来のキャリアも不安だ。ここは、手っ取り早く取得できる資格をとって、転機をはかりたいのだが……」。

私は、少し考えたあとでこう言いました。「それは論理矛盾です」。さて、ここで私はなぜ「論理矛盾」と言ったのでしょうか。

ヒントは、そもそも資格とは何かを考えること。端的に述べるならば、資格は「差別化のための記号」です。しかし、看護、医療といった高度な専門性を有する資格ならば話は別ですが、手っ取り早く取得できる資格は、ほかの誰にとっても取得が容易で、差別化の記号としては機能しない可能性があります。すなわち、この選択には、そもそも矛盾があるのです。