調査よりマーケッターの嗅覚

消費者調査の実施においても、マーケッターのゆらぎが入ってしまうことがある。ルディー氏は言う。

「マーケッター自身がすでに仮説を持っている場合、それを社内で通すために説得力のある論拠が必要になります。そういうときにネットで簡単に調査し、結果を都合よく使うケースがままあります。人間はどうしても自分の仮説に沿ったデータに目がいくため、実態とギャップが出て失敗するのです」

味の素の駒瀬氏もその点は認める。

「調査結果というのは、いかようにもなるんです。設計次第で意図的に誘導できてしまう。そのうえ前述のように、恣意的でなくても調査と発売後の結果にはずれがある。だから、最後はマーケッターの嗅覚に頼るしかないんです。いろんな失敗を繰り返しながら鍛えていく嗅覚こそ、我々の財産だと思います」

マーケティング評論家 ルディー和子
米エスティ・ローダー社マーケティングマネジャー、タイム/タイムライフブックスのダイレクトマーケティング本部長を経て、マーケティング・コンサルタントとして独立。2003年、第1回ダイレクトマーケティング学会賞受賞。著書に『マーケティングは消費者に勝てるか?』など。
(永井 浩=撮影)
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