覚悟を決めて取り組んだ結果、100人いた同期の中でトップセールスを記録。最年少営業部長に抜擢され、就任3カ月で担当部門の成績を全国1位に導いた。
「頑張ったらそれだけ評価してもらえる実力主義の会社でした。でも、部長より上は急に年功序列になり、その先が見えなかった。それにお客を大切にするという部分で会社とは考え方に相違がありました。何か急に嫌になって、28歳のときに部下3人と独立しました。
事業は同じく情報機器の営業です。ところが起業して3カ月ほど経ったころ、一緒に独立した部下から、『なぜ嶋津さんだけ営業しないのか』と問い詰められたのです。信頼を得るためにはやるしかないと、営業の最前線に戻って、部下が『もういい』と言うまで売りました。
いま思うと、率直に意見を言ってくれる部下がいてラッキーでした。若い社員に『やる気がないから辞めろ』と言ってしまったことがありました。すると別の社員から『社長にああ言われたら社員の逃げ場がない』と諭された。偉くなると叱ってくれる人がいなくなりますが、その点で僕は恵まれていた」
独立の翌年、縁あって知り合った経営者2人と共同で通信機器の仕入れ会社を設立。6年目には株式上場を果たした。
「僕は人にうまく流されることが、運をつかむコツだと思っています。会社を統合させたときも、2人に『上場でも目指さないか』と誘われて、なんとなく乗っただけ。
ただし、相手は選びます。自分より運の強い人か、自分より優秀な人。
経営はうまくいっていました。でも、お金を儲けるだけでは何か足りない気もしていた。そこで自分の人生を、愛ある生活、健康、経済、やりがいのある仕事という4つのカテゴリーを組み合わせて、すべてのパターンで考えてみました。
すると、仕事に心から満足していない自分が浮かび上がってきた。このままでは自分の人生を後悔することになると思い、仲間に相談して、株式上場を果たしてからという約束で会社から離れることを決めました」