──自身の営業時代の経験を。

【尾賀】9年ほど前、大阪第1支社長としてサッポロが弱い大阪に赴任した。当時の茨木工場(その後閉鎖)のすぐ近くにスーパーが営業していたが、この店のシェアは3割を超えていたのだ。酒売り場の担当者もパートの人たちもサッポロを一生懸命売ってくれ、常識ではありえない“異常値”を叩き出した。やり方次第で異常値はつくれるわけで、営業とは面白い仕事だ。

──サトウキビ残渣などから水素やエタノールを生成する発酵技術を、サッポロは持っている。人類のエネルギー革命につながるのでは。

【尾賀】ペトロブラス(ブラジルのエネルギーメジャー)に技術供与していて実証を進めている。だが、実用化のメドはまだ立たない。再生可能エネルギーとして夢はあるのだが。

──営業マンはどうあるべきか。

【尾賀】ビール類とはちびちび飲む酒ではない。営業現場には、ある程度の自由度が必要。10人いたなら、1人ぐらいは逸脱している人がいてもいいのでは。逸脱者が異常値をつくり、何かとてつもないことをやってくれると思う。あまりチマチマした会社には、私はしたくはない。

サッポロビール社長 尾賀真城
1982年サッポロビール(現サッポロHD)入社。取締役常務執行役員を経て2013年3月より現職。
(的野弘路=撮影)
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