昔は本をほとんど読んでいなかった
高校までは野球少年だったんです。読書なんてほとんどしなくて、大学に入ってから、「少しは読んどきゃよかった」と後悔したくらい。大学入試は世界史選択でしたが、実際に世界史に関する本を読むこともなく、いま頃になってようやく塩野七生さんを読んでいます。だいぶ遅れていますね(笑)。
大学生になり上京してからは寮に入りました。出身地も通っている大学もさまざまな学生が集まる寮内には、壁一面ベターッと難しそうな本を並べているようなのもいて、「いったいこいつはどういう興味と関心で、こんなに本を読んでいるんだろう」とびっくりしたことを覚えています。ちょうど司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』が話題になっていた頃です。
いまは年間に80~100冊ほど読んでいます。私は単身赴任生活が19年と長かったんですよ。そのせいもあり、週末には散歩をしながら書店を巡り、気に入った本を買う習慣がつきました。就寝前の30分間、電車や飛行機などの移動時間を利用して、実用書から小説まで、特にテーマは決めずに興味のある本から読んでいます。
たとえば、ここに挙げた『マゼラン最初の世界一周航海』は、ちょっと毛色が変わっていておもしろかった本です。1519年にマゼランはポルトガルから船に乗って世界一周の旅に出ます。その船路を同行者が記述した本がこれです。もっとも肝心のマゼランは途中で死んじゃうんですけどね。世界を一周していない(笑)。
この本を読んで思ったのは、結局のところ、国や時代が変わっても人間の一番の関心事は同じなのだなということです。食と性。この2つは人類の共通関心事だからこそ、新しい土地にたどりつくたびに必ずこの2つは報告されているのです。
2011年、サッポロビールはベトナムに工場を開きました。実はベトナムは胡椒の世界ナンバーワンの産地なんですよ。胡椒といえば古くはシルクロードや海の交易で世界に伝わったアジアの香辛料です。つまりこの時代の航海の様子を知ることは、私の本業にとってもおおいに関係のあることなのです。