最近の若い社員には、上司である「オジサン」と直接会話することを嫌がる人も多い。しかし、だからといって嘆いてばかりでは、みすみす有益な情報をドブに捨てることになる。

上司には、部下が見落としている情報をすくい上げる役割が求められているのだ。部下が話しかけてこないならば、こちらから働きかけるしかない。外出先から戻ったときに「お疲れ様。どうだった?」と一声かけるだけでも、情報を引き出すきっかけになる。

ただし、くれぐれも「ああしろ、こうしろ」と指示ばかりして追い立てたり、説教ばかりにならないように。ますます上司と話したがらない部下を育てるだけだ。

今こそ我慢できる上司であれ

ホウレンソウでここまで実行するのも、忙しい上司にとってはなかなか難しいことだろう。しかし、さらにもう一歩、先をいくホウレンソウの活用法がある。ホウレンソウのうち、判断力が問われる「相談」をうまく使い、自分で判断し、行動できる部下を育てることだ。

ある中小企業の社長から、「ウチの社員はどうも、問題解決や意思決定の力がなくて困る。社員にそういった研修をやってくれないか」と相談を受けたことがある。

社長室でその社長と、研修について打ち合わせをしていたときのこと。社員が「失礼します」と、青い顔をして社長室に入ってきた。

「どうしたんだ?」
「はい、社長。実は○○部品に不具合が出てしまい、A社の納期に間に合いそうにないのです。どうしましょうか……?」
「わかった。それは何とかしなければいけないが、ちょっと待てよ。確かB社用に生産していた同種の○○部品があったはずだ。B社は納期までまだ時間があるから、それをA社にまわしたら何とかなるんじゃないか」
「社長、ありがとうございます! そうします。助かりました」

社員が部屋を出ていくと、社長は私にこうボヤいた。

「うちの社員はみんなああなんです。すぐに『どうしましょうか』と答えを聞いてくる。自分で考えるということをしないんです」