独身で生涯を終える男性が4分の1を超え、将来は3割に
「おひとりさまの老後設計」というような表現で生涯独身者としての生き方に関心が集まるようになっている。そうした中、このほど2020年の国勢調査の確定値が発表され、生涯未婚率、すなわち一生独身でいる人の割合をあらわす統計数字が男性で4分の1を超えたことが話題となった。今回はこの点をめぐるデータを紹介しよう。
ここで生涯未婚率は50歳時の未婚率(実際は45~49歳の未婚率と50~54歳の未婚率の平均から算出される)のことを言い、その後に結婚する人は少ないことから、「生涯未婚率」と称されている。死んだとき未婚だった人を集計した結果ではない点には注意しよう。
図表1に1920年から2020年までの過去の5年毎の国勢調査の実績推移と2040年までの将来推計結果をあらわした。
男性については、戦前から1980年までは3%未満の低い水準で推移していたが、バブル時代にさしかかる1985年に3.9%と3%を越えてからは、急テンポで上昇傾向をたどり、2020年には25.7%と4分の1を超えている。
政府の社会保障・人口問題研究所による将来推計(2015年国勢調査データに基づく推計)では2040年にはさらに29.5%とほぼ3割の水準に達すると予測されている。
女性の場合は男性の6割程度とあまり高くないレベルである点、1970年には男性より早く3%を越えていたこともあった点などが異なっているが、上昇傾向については、ほぼ男性と同様の動きとなっている。2020年の生涯未婚率は16.4%と男性より10%ポイントほど低く、2040年の予測でも18.7%と2割は越えないものとされている。
男性の3割、女性の2割が今後、一生独身ですごすということになると、これまでの日本社会で当然とされてきたいわゆる「皆婚習慣」がはっきり崩れると予測されているといってもよい。
なお、ここでは示していないが、20代後半や30代前半の未婚率は、一時期、急速な上昇を続けていたのであるが、最近は横ばい傾向に転じている。いわゆる晩婚化の影響が行きつくところまで行ってしまい、小さくなったと言えよう。これと対照的に生涯未婚率は依然として上昇を続けており、結婚しない男女が一定割合以上は生まれる新しい時代が到来しつつあるといってもよいだろう。