部下に遠慮しすぎて管理職が疲弊している
「最近の若い社員は、何を考えているのかわからない」。企業研修やカウンセリングの場で、管理職の方々からそんな悩みを聞く機会が増えています。
いわゆる「Z世代」に該当する20代の社員に関して、上司や先輩社員がよく口にする困りごとは次の2つです。
一つは「指示待ち」。指示があるまで動かず、わからないことがあっても自分から質問に来ようとしません。ある企業で実際にあった話ですが、部下に資料のコピーを頼んだところ、しばらくたって部下がコンビニの領収書と一緒にコピーを提出してきました。社内のコピー機の使い方がわからず、わざわざコンビニに行ったのです。
「わからなければ、聞けばいいのに」と思うでしょう。でも、上司や先輩の「常識的に考えればこうだろう」という感覚は、彼らには通用しません。自分の世界の中で、自分なりに情報を処理し、ズレた行動に出てしまうのです。
もう一つは「わがまま」です。たとえば、会社の繁忙期に「旅行に行くので」と長期休暇を申請してくる。上司が「その時期はみんなで頑張らなければいけないから避けてほしい」と頼んでも、「休むのは私の権利ですよね」と開き直られてしまいます。また、業務の指示に対して「この仕事、私でないとダメですか?」「あの担当者、苦手なんですよね。ほかの人に代わってもらえませんか?」と言い出し、上司が絶句してしまうという話もよく聞きます。
そんな部下の「わがまま」に対し、何か言おうものなら「ハラスメントだ」と訴えられてしまうかもしれないと考え、上司の側は常に戦々恐々としています。「無理に仕事を頼んだらパワハラ扱いされるよな……」と自分で業務を引き取る人も少なくありません。結果、上司のストレスと業務負荷ばかりが増えていき、心身ともに疲弊してしまうのです。
なぜZ世代は指示されるまで動かず、権利だけは主張してくるのでしょうか。そこには、彼らが育ってきた環境や時代の変化が大きく影響しています。
物心ついた頃からインターネットが身近にあった彼らは、何をするにもまず「検索」が当たり前です。外食するときも、SNSやレビューサイトで外観やメニュー、価格、乗り換えの経路まで調べ、頭の中で完璧なシミュレーションをしてから行動に移します。失敗を避けたい気持ちが強く、見通しが完全に立たないと動こうとしないのです。だから、全体像が見えない、またはやり方が明確でない業務に対してはどうしてよいかわからずフリーズしてしまいます。さらに、彼らの多くは学生時代にコロナ禍に見舞われ、サークル活動などで経験できるはずだった社会との関わりが不足しています。その対人スキルの低さも「指示待ち」の姿勢に拍車をかけています。
もう一つの「わがまま」な言動の背景には、キャリアに対する価値観の変化があります。終身雇用が当たり前ではなくなり、転職のハードルは下がっています。人手不足による「売り手市場」でもありますから、我慢してまで今の会社に居続けよう、上司に好かれようという発想は彼らにはありません。「この会社はハズレだ」と判断すると、早々に見切りをつけ、「辞めるまでの間、いかに楽をして過ごすか」しか考えなくなります。さらに、その「わがまま」を正当化するため、ハラスメントという言葉を“盾”として都合よく利用する人もいるのです。
「あいまいさ」を徹底的に排除しよう
こうした特徴を持つZ世代の社員には、業務指示はできる限り具体的に行い、あいまいさを排除するのが鉄則です。たとえば、「手のあいたときにお願い」「なるはや(なるべく早く)」といった指示は禁物です。「月末まで」という指示ですら、より明確にする余地があります。「月末」とは31日の夕方か、それとも23時59分か。31日が日曜の場合は29日か……と人によって受け取り方は異なります。
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