METHOD 2 いい所探しをする

日常生活の中での子供に対する接し方として、心理学の側面から避けるべきなのが、欠点を修正しようと必死になり、ダメ出しばかりしてしまうことだ。

「ポジティブ心理学は、日常生活の身の回りの出来事に幸せを見つけたり、ポジティブに解釈することで満足を見出していくことを目的にしています」(成瀬氏)

人はあるものごとに注意を向けると、そこにばかり目が行ってしまうという習性がある。

「学生たちに“パスの回数を数えてください”と言って、サッカー映像を5分ほど見せる実験があります。実はこの映像では、画面の一番手前を白熊が堂々と横切るのですが、映像が終わった後に“白熊に気づきましたか”と聞いても、ほとんどの学生は気づかなかったと言います。パスにばかり注意が向いているためです」(成瀬氏)

幸福や長所もこの白熊のようなものだと成瀬氏は言う。

「シャハー氏はハーバードでの講義のなかで、イギリスの元首相、ウィンストン・チャーチルの言葉を引用しました。『悲観論者はあらゆるチャンスに困難を見いだす。楽観論者はあらゆる困難にチャンスを見いだす』。幸福というものは人生における客観的な出来事で決まるのではなく、出来事をどのように解釈するのかという主観的な心の働きによって決まる、と話しています」(成瀬氏)

あら探しをしてしまう人は幸せにはなれない。子育てでも一緒だという。

研究によると、子供の欠点を探す癖が一度ついてしまった親は、脳内に「欠点を探す配線」ができあがって、そこからなかなか抜け出せなくなってしまうという。「まずは、親が認識を再構築することで、単に失敗を指摘するのではなく、どう話したら修正できるかまで考えられるようになることが大事」(成瀬氏)