ウソはつかないにこしたことはない。でも、すべて正直に語ることが事態を悪化させるケースは、確かにある。職場のウソは、どこまで許されるのか。
ビジネスコミュニケーションのプロが、ついて良いウソ、悪いウソの境界線についてアドバイス。

「正直に言う」がベストとは限らない

ウソはつかないにこしたことがないのは人としての大原則です。そうとはいえ、ビジネスシーンで常に真実を語り続けるのがベストかと問われると、そうとも限りません。上司と部下、顧客と営業、同僚同士など、立場の違いから必要となる「ウソ」もあります。人材育成の仕事を通じ、成功する人の共通点を長年研究してきましたが、できる人というのはウソがばれませんし、疑われもしない。

ウソは、疑われた段階ですでに社会的信用が大きく損なわれます。減俸や左遷などの具体的措置までいかずとも「あの人はよくウソをつく」という評判が立てば信頼は揺らぎ、仕事を任されなくなってしまう。だからこそ不用意に下手なウソをつく人は出世していきません。

(構成=三浦愛美 撮影=横溝浩孝 写真=PIXTA)