給与体系も世界統一。従来の能力給から、職務・役割給へ

仮に職務グレードを世界で統一しても給与体系が違えば、日本人と同じ職場で働く外国人から不満も出るだろう。従来の年功的な能力給から職務・役割給に移行しなければ人材のグローバル活用はできないことになる。同社としては15年のグレードによる給与導入に向けて準備を進めている。山口氏は難しい課題であるが、人材活用のグローバル化には不可欠と指摘する。

「今までの役職の人事異動は、彼ならできるだろうと、人に紐づいて抜擢していたわけです。これからはグローバル人財本部長というポストであれば、決められた職務定義や遂行する人材要件に基づいて探すことになります。海外ではこのポジションに何が必要かを明確に定義し、社内にいなければ外から要件に合う人材を持ってくるのが一般的です。世界の人材を活用していくには職務要件に基づいた戦略的な育成と配置が必要になります」

制度を構築すれば、人材のグローバル化が機能するわけではない。山口氏は大事なのはマネジメント層の意識の変革だと強調する。

「これまでの日立は、極端に言えば、人に関しては人事が面倒を見る、お金は経理が担当するのでラインのマネジャーは仕事だけを徹底してやってくれというやり方でした。そこにはヒト・モノ・カネ・情報をうまくマネージし、チームの生産性を高めてゴールに到達するという意識が抜け落ちていましたし、経営者が育つという土壌ではなかった。今後は職務グレードを導入し、チームのパフォーマンスマネジメントを取り入れていくことでマネジャーの役割や評価も変わります。その意味では本当に一大変革でもあります」

従業員33万人を擁する巨艦の日立製作所が海外での成長戦略に向けて大きく動き出している。日本企業のグローバル化の最大の阻害要因は、日本本社の社員のグローバル化であると指摘されることが多い。真のグローバルカンパニーを目指して、どう展開していくのか注目に値する。

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